生活指導

メタボリック・シンドロームの程度を正確に把握して正しく対処することは、若年層であっても重要なポイントです。

人間ドックの目的はメタボリック・シンドロームとがんの診断が二つの柱です。先進国での死亡原因が、がんと加齢・生活習慣による動脈の狭窄や閉塞であるからです。

メタボリック・シンドロームは簡単に言うと腹囲が大きく生活習慣病がすでにいくつか発症していることを指します。

メタボリック・シンドロームがあると動脈硬化が速く進んで脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、その他動脈の狭窄による臓器障害をきたす可能性が高まります。ここでの落とし穴は、動脈硬化が進んでいてもある程度進行しないと症状が無く、多くの場合突然閉塞による発作が発症することです。脳梗塞では麻痺や意識消失、狭心症・心筋梗塞では胸痛、呼吸困難などが代表的な症状です。その場合、速やかに適切な処置が行わなければ後遺症や死亡につながります。今元気でもメタボリック・シンドロームによる動脈硬化ー動脈の狭窄は進行しています。メタボリック・シンドロームの程度を正確に把握して正しく対処することは、若年層であっても重要なポイントです。年間2000名の方の健康診断、人間ドックをさせていただいて感じるのは若い方のメタボリック・シンドロームの増加です。すでに20歳代で治療が必要な生活習慣病を発症している例をたくさん見てきました。多くは肥満(特に内臓脂肪や皮下脂肪の増加)を伴っています。中年以降のみならず若い時から健康チェックと維持に努めたいものです。

各疾患のポイント


高血圧

ご自身の血圧が適切なのか、薬を内服して十分に血圧はコントロールされているのか。何のために治療しているのか。コレステロールなどと比較して動脈硬化との関連がピンときにくいようです。正しくは下記の方法で朝の時間に測定します。 血圧は常に変動しています。測定するタイミングと測定する習慣への慣れが重要です。

血圧は遺伝的素因、塩分摂取量、運動の有無、肥満の有無によって規定されます。
安易に薬に頼ることなくこれらを意識した生活が求められます。


糖尿病

動脈硬化を最も強力に進める疾患です。

心臓、脳の血管をはじめ腎臓、眼底、四肢末梢の血管を細くし血流を阻害します。過食、不規則な食事、遅い時間帯の飲食、頻繁な間食、運動不足、暴飲暴食、炭水化物の過剰摂取・・・発症の原因となる環境は悪化傾向です。一方で新しい内服薬、インシュリンが開発され効果、安全性の向上は目を見張るものがあります。とはいえ、やはり薬に頼りっぱなしは避けたいものです。

空腹時血糖が高い糖尿病予備軍は驚くほどの頻度で診断されています。予備軍の段階で生活習慣を見直せば発症は阻止することができます。一方で一旦発症してしまうとなかなか治療から離脱できなくなってしまうのも現実です。

人間ドックでの結果説明の際に、糖尿病予備軍の方に対する生活指導に力を入れて取り組んでいます。


脂質異常症

高トリグリセライド(中性脂肪)血症、高コレステロール血症の二つを指す病名です。

以前は高脂血症と呼ばれていました。HDLコレステロールは高い方が望ましく、誤解を与えるということで異常症と言いかえられました。脂質異常症も遺伝的な素因が大きく影響します。特に高コレステロール血症は食事などでのコントロールは困難です。他のメタボリック・シンドロームがある場合に相乗効果を考慮しきちんと治療することが重要です。中性脂肪は炭水化物とアルコールの摂取が大きく影響します。生活習慣の見直しでコントロールしやすいのでご自身の意識が重要となります。