人間ドックを受ける理由

35歳を過ぎたら特定検診、がん検診あるいはその両者をカバーする人間ドックをお受けになることを考えていきましょう。

そもそも、健診や人間ドックはなぜ受けなくてはならないのでしょうか。

目的は、日本人が亡くなる主な原因であるがん、脳血管・心血管疾患について出来るだけ早期のうちにあるいは発症する前に診断し予防や治療をするということになります。一生の間に男性は5割、女性は4割がんに罹られます。40歳以上の男性は8割がメタボリック・シンドロームあるいはその予備軍という現状です。日本人の生活水準が上がることでこの20年で食生活が目覚ましく充実してきました。それに伴い肥満、メタボリック・シンドローム、大腸がん、乳がんの発症が増加しています。

そうなると当然、健診の重要性は高まるわけですが、全国平均の受診率は特定検診が3割、がん検診は2割台と驚くほど低いのです。健康診断、人間ドックは世界に誇る日本独自の制度です。日本人の平均寿命が高いのはこの制度のたまものといわれています。年間2000名を超える方を拝見していますが、メタボリック・シンドロームの発症の若年齢化と中年以降の重症症例の増加が目立ちます。がんについては胃がんが減り、食事を原因とする大腸がん・乳がん、喫煙による肺がん・食道がん・喉頭がんの急増を肌で感じています。以前は成人病と呼ばれ現在生活習慣病と呼ばれる高血圧・脂質異常症・糖尿病はもはや成人だけの病気ではありません。乳がんや子宮頸がんは20歳代から発症しています。35歳を過ぎたら特定検診、がん検診あるいはその両者をカバーする人間ドックをお受けになることを考えていきましょう。

一般の健康診断と人間ドックはどこが異なるのでしょうか。

健康診断は所属されている健康保険が国民保険か社会保険課で対応が異なります。

国民保険の場合は市や区などの自治体が、社会保険の場合は健保組合が管轄し受診や結果報告、結果による経過フォローを進めます。健康診断には2種類あって、特定検診(メタボリック・シンドローム健診)とがん検診です。通常は別の施設で異なる日に受診します。健保組合によっては同日のこともあります。健診を受け始める時期や検査内容、受ける間隔は地域によって差があります。特定検診は40歳からが原則ですが、同じ内容の検査をより早く受けられる職場もあります。 がん検診は35歳から40歳の間に受け始めます。原則は1年か2年に一度です。女性の子宮頸がんや乳がんは30歳代から発症するため、多くの場合35歳から受診対象となります。人間ドックは特定検診とがん検診を同日に一度で受けていただくものです。いずれにしても両方受けるのが望ましいので時間と手間を省くことができます。

ただ、自治体や健保組合での健診は基本的に無料ですが人間ドックは自己負担となります。健保組合によっては医療機関を特定せず、自分でお受けになりたいところを申告して全額かある程度までの費用を負担補助していただけることがあります。

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