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毎年の健康診断を「楽しみ」に変える方法

2019.05.03 ダイエット メタボリック・シンドローム 人間ドック

【体重計に毎日乗ることからはじめましょう】

新年度が始まり、そろそろ気になってくるのが健康診断。5月か9月に健康診断を行う会社が多いとされています。

「今年は大丈夫だろうか」

そんなふうに思うならば、今からできることを実践してみましょう。

その一歩が、おそれずに、体重計に毎日乗ることです。

105歳まで生きられた日野原重明先生(聖路加国際病院・名誉院長)は、

「家庭には体重計、血圧計、体温計の三種の神器を必ず置き、体重と血圧は毎日はかりなさい」

と、生前に語られていました。

自分にあった理想の体重と腹囲をたもち、食事の量や内容にも気をつけ、いずれも多くなりすぎないよう気をつけることで、生活習慣病の多くは予防できる。そして、かかとから地に着くような正しい歩き方をすること。それが健康長寿の秘訣だと、日野原先生は、私たちに教えてくれていたのです。

毎日体重計に乗っていると「昨日、食べすぎてしまったかどうか」がよくわかります。

糖質、脂質、カロリー値の多い食事をすれば、翌朝、体重は増えています。

反対に、たくさん食べたつもりでも、野菜や大豆食品などの多い食事をしていれば、体重は増えていません。いつもより多く歩き、運動をしたならば、体重が減っていることもあるでしょう。

体重をはかることの意味は、自分が正しい生活を送っているかを知ることにあります。

今の体重を知って、一喜一憂することに意味はなく、たとえ理想の体重を大きく上回ってしまっていても、落ち込むことはないのです。

大事なのは、「今日、何に気をつけて生活するとよいか」を客観的に把握するために、体重という数字を知ることです。

なお、体重は、必ず朝にはからなければいけない、と決めつけることもありません。

朝、測定を忘れたなら、昼でも夜でも、気づいたときにはかるとよいでしょう。一日に何度もはかるとなおよいと思います。

体重をはかる習慣ができると、体重を今より増やすことはなくなります。

では、自分の適正な体重を知るには、どうするとよいでしょうか。

これは、「BMI(ボディー・マス・インデックス)」を計算するとわかります。

BMIとは、ご存じの方も多いと思いますが、体重と身長から肥満度を示す体格指数のこと。下の計算式で算出できます。

〈BMI=体重(kg)÷身長(m)×身長(m)〉

日本肥満学会が統計的にもっとも病気になりにくいのは、BMIが「22」のときとしています。

理想の体重は、この「22」という数字を使って計算します。

〈適正体重=身長(m)×身長(m)×22〉

なお、日本肥満学会は、BMIが25以上を肥満、18.5未満を低体重としています。肥満も低体重も、病気を起こしやすい状態である、ということです。

《日本肥満学会の判定基準(成人)》

指標         判定

18.5未満        低体重(やせ型)

18.5~25未満     普通体重

25~30未満       肥満(1度)

30~35未満       肥満(2度)

35~40未満       肥満(3度)

40以上         肥満(4度)

【正しい知識があれば、暴飲暴食が遠ざかる】

「自分の今の体重」と「適正体重」の2つを改めて把握したら、そこにゆっくりと近づけていく工夫を毎日のなかに施していきましょう。

絶対にやってはいけないのは、「健康診断まであと1カ月しかないから、それまでにいっきにやせてやろう」と、無理な目標を立てることです。

「ホメオスタシス」という言葉をご存じでしょうか。

ホメオスタシスとは、恒常性という意味。生体が、内部の状態を一定に保とうとする現象のことです。私たちの体内では、このホメオスタシスが強く働いています。

そのために、いっきに体重を落としてしまうとホメオスタシスが働き、もとの体重の戻そうと脳が反応してしまいます。それが「何か食べたい」「もっと食べたい」という感情になって現れます。

脳からのその指令は強力です。だからこそ、ダイエットは成功しにくく、リバウンドしやすいのです。

体重を落とすには、このホメオスタシスのシステムを意識すること。

脳に気づかれないように、ゆっくりと体重を減らすことです。

1カ月に1~2キロ減がちょうどよいところです。

人が太るときも急激に体重が増えるわけではなく、1カ月に1~2キロくらいずつ増えていくものです。だからこそ、体内のホメオスタシスが反応しなかったのです。

それならば、今度は同じように、1カ月に1~2キロのペースで減らしていくことです。

1カ月に1~2キロならば、なんだか簡単そうで、少しの工夫で実践できそうな気がしてきませんか。そうした前向きな気持ちも、健康管理には大事です。

「そんなわずかな減少幅では、来月の健康診断にとても間に合わない」と心配する人もいるでしょう。大丈夫です。私たちの身体は、素直です。身体によいことを始めたら、きちんと反応してくれます。

最初の2週間は、あまり体重に反映されないかもしれません。でも、2週間後には体調がよくなってきたことを感じられるでしょう。その後、体重が前後しながらも少しずつ減っていくはずです。

そのときに健康診断を受けることができたなら、昨年よりはちょっとよい結果が得られるでしょう。これが大事なスタートです。スタートを無事に切れたなら、来年の健康診断が楽しみになるはずです。

今年の健康診断は、健康増進に向けての大事なスタートとして、活用することです。

では、実際にどのようなことを始めるとよいでしょうか。

そのことについては、ちょっと前の記事

「ダイエット成功の2例」

「朝食を抜くと太るでしょうか?」

「【「不慮の病」は食事で予防できる】病気予防&ダイエット成功のカギは、上手な糖質制限にあり」

「メタボ対策で生活習慣病を予防しましょう」

に書きました。

体調管理には、正しい知識が必要です。

身体についての知識や病気の起こり方などを理解できていれば、健康に悪いこと、たとえば暴飲暴食をしたくなったとしても、セーブを働かせることができます。

健康管理に必要なのは、体重計を使って自分の体調を客観的に知ること。

そして、正しい健康知識を蓄えて、自らの健康増進に活かしていくこと。

この2つの実践によって、毎年の健康診断を「ネガティブな行事」から「楽しみな行事」へと変えていくことができるはずです。

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